「銀花」310円 3

 小学生に蔵書票作りを指導した当時の市立室蘭図書館館長 山下敏明は、地元の新聞
に読書コラムを連載していまして、それをまとめて「本の話」として刊行しています。

本の話―室蘭民報掲載・1989(平成元年)第1回-1996(平成8年)第200回

本の話―室蘭民報掲載・1989(平成元年)第1回-1996(平成8年)第200回

本の話 続

本の話 続

 まさかこの本にリンクがはられているとは思わずで、検索をかけてみましたらヒット
しました。いやはやなんとものアマゾンであります。
 当方は、先にでた本を入手したのですが、正編のほうはちょうど200編を収録していま
す。続編のほうも、たぶん同じくらい収録されているのでしょう。(続編のほうは、
いまだに入手しておりません。)
 この「本の話」を室蘭民報という新聞に連載をはじめたときは、室蘭工業大学図書館
の司書として働いていましたので、連載のはじめのころは、室蘭工業大学図書館の蔵書
から話題を得ていました。
 この連載の初回は、1989年11月のことになります。
室蘭工業大学附属図書館には、約二十二万冊の蔵書があります。理工系の単科大学
のでだいたい半分以上が理工系の専門書で占められていて、哲学とか経済、社会などの
本は多くないのですが、その中でも柱をなすいくつかの蔵書の群れというか固まりがあり
ます。例えば婦人会協力文庫や一回生から五回生までの卒業生が毎年寄贈していった卒業
生文庫とでも名付くべき昔の本、北大土木専門部時代の理工系の古典とでもいうべき蔵書
などで、それがうちの蔵書の特徴をなしています。
 最初にあげた婦人会協力文庫について述べると、室蘭工大は昭和25年1月3日の火事で
図書館が全焼。本をすっかりなくしてしまった。・・当時、室蘭の財界の人たちを中心に
復興運動が起こったのをはじめ、本を失った学生のために本を集めようと、夫人の方々が
協力会をつくって活発に活動したそうです。」
 室蘭工大の図書館を訪ねたことはありませんが、この図書館が火事で焼けた過去がある
なんてことはもちろん、この文ではじめて知りました。昭和25年ですから、いまから
64年ほどまえのことになりますが、「本を失った学生のために本を集めよう」という運
動が起こったというのが、いかにもその時代の雰囲気を伝えることです。
 この時代に同じように大学図書館の蔵書が焼失したとしても、このような運動が起きる
とは思えないことであります。