新潮文庫 創刊100年

 昨日に届きました新潮社「波」9月号には、ちょうどなかほどに「新潮文庫創刊100年
記念特集」がありました。新潮文庫が創刊100年ということは、この7月に「考える人」
が文庫特集をしたときに話題にしておりました。
( http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20140719 )
 今回は、PR誌である「波」での特集でありますから、新潮社からの刊行と結びつい
た内容となっています。ここでは、新潮文庫の100年を、装本によって四期に分けて、
紹介をしているのですが、その第一期のところに、添えられた文章に次のようにあり
です。
「創刊100年の今年、新潮社は、美麗な造本に彩られた第一期新潮文庫から5点を復刻、
『100年前の新潮文庫 創刊版完全復刻』として限定刊行する。」
 ちなみに復刻した5点とは、次のものだそうです。
 「人生論」 トルストイ 相馬御風/訳
 「エルテルの悲み」 ギヨオテ 秦豊吉/訳
 「はつ恋」 ツルゲーネフ 生田春月/訳
 「人形の家」イプセン  中村吉蔵/訳
 「ロメオとジュリエット」シェークスピア 久米正雄/訳

 これの復刻作業の模様が写真で紹介されています。文章では、次のようになります。
「本文」についてのところです。
「新潮社所有の原本は各一冊のみ。通常のテキストスキャンのように本を分解したり、
読み取り面に版面を押しつけることは厳禁である。そこで貴重本の非破壊撮影や大型
美術品複写の専門スタッフに、全本文ページの復刻を依頼した。」
「製本」については、次のコメントがありました。
「製本は、長年、多くの新潮社の本をつくり続けている加藤製本(株)が担当。
まず古書店で購入した第一期新潮文庫を分解して造本仕様を細かく調査し、多くの
試作を繰りかえしながら、複雑な製本工程を一つ一つ手作業で再現していった。」
 今回の「波」は、ここの記念特集がカラーページとなっていて、とても見応えが
ありです。
 ちなみに気になるこの「創刊版完全復刻」は限定販売五冊セットで定価14,000円と
のことです。この「波」の巻末には専用注文ハガキがついていますが、さて、これは
どのような人が購入するのでありましょう。