馬淵美意子さんの詩についての菅野昭正さんのエッセイを紹介しようとしています
が、馬淵さんの詩よりも菅野さんのエッセイのほうがわかりにくいかもしれません。
馬淵さんの代表的な作品「つかがね草」を取り上げているところを読んでいます。
「 野かぜがわたると
また ひとしきり鐘がなるのです。 」
冒頭の二行について、菅野さんは、次のように記しています。
「『つりがね草』というあえかな優しい作品の最初の二行は、馬淵氏の詩が生まれて
くる契機をまことに素直に示し、その詩の骨法の核を飾り気もなく端的に差しだして
みせている点で、この詩集のなかでも代表的なものであるように私には思われる。
たしかにここにはなんの衒いもない。思いもかけぬ意外な衝撃のなかに捲きこむこ
とを狙って、字面だけはいたずらに特異なかたぶりを示して、詩句の内実の貧しさを
隠す詐術とはおよそ対照的に、それは静かに書きしるされるのである。・・・
特異さのしるしをいささかたりとも着けていない平明な語法で、くっきりとした
単純な線によって描きだされたこの簡素な風景のイメージは、こうして読者の心に
まっすぐしみこんでくる。」
冒頭の二行についてのところは、こちらの頭にもはいってくるのでありますが、
ここから先の部分についてのところは、菅野さんのエッセイはどんどんと難しく
なってくるのでありまして、すんなり頭にはいってきません。
それは馬淵さんの詩の技法ともいうところに関してでありますが、これはうまく
読むことができるでしょうか。