年の初めに 5

 小林信彦さんの「伸びる女優 消える女優」を手にしていて、この若々しい好奇心は
すごい、思わず「成城だより」の大岡昇平さんと比べてしまいましたが、大岡さんが
「成城だより」を連載していたのは76歳のときまでで、80歳を前にしてなくなっていま
からして、小林信彦さんのほうが、年齢は多くなっているのでした。
 大岡昇平さんが生きた時代においては、大岡さんは元気のよい老人という感じであり
ましたが、いまの時代に80歳を超えている小林信彦さんから老人というような雰囲気
が感じられません。
 当方は、小林さんよりも20歳ほども若いのでありますが、小林さんが名前をあげてい
る最近の若い女優さんで顔と名前が一致するのは、どのくらいありますでしょう。
 小林信彦さんと品田雄吉さんが、2010年5月の週刊文春であげている「注目の女優」
の15人は、以下の人たちでありますが、この名前を目にして、顔は思い浮かびます
でしょうか。五十音順となっています。
 蒼井優   綾瀬はるか  榮倉奈々   貫地谷しほり  北乃きい
 柴咲コウ  多部未華子  仲里依紗   長澤まさみ   広末涼子
 深田恭子  星野真里   堀北真希   満島ひかり   宮崎あおい
 
 このリストは2010年のものです。注目されていて、その後にもっともっと大きな名前
となっている人がいますが、2013年の終わりに見逃せないとしているのは、次の女優さ
んたちとのことです。
「役に力を入れたときの綾瀬はるか貫地谷しほり、こわい役の時の堀北真希(例・
白夜行』)をじっくりと観る。」
 綾瀬はるかさんの役に力をいれたときというのは、昨年の大河ドラマ「八重の桜」で
すから、これはわかりよい。堀北さんも例があるからわかります。となると貫地谷さん
は、どの作品がおすすめであるか。
 そういえば、小林さんは長澤まさみのファンであったのにと思ってみていたら、小林
さんは、「以上、三人のほかでは、長澤まさみがうまくつかわれていない。『世界の
中心で、愛をさけぶ』と松竹配給の『深呼吸の必要』における暗い脇役が今までのベスト
だと思うが、東宝が彼女についてどういう方針を持っているのかがまったくわからない。」
 やはりこの文庫本は、元版の「気になる日本語」よりも「伸びる女優 消える女優」の
ほうがなじむことであります。もちろん、消える女優についての具体的な記述はありま
せんです。