今年、話題の本 3

 亀和田武さんの文章は、これまでも目にしたことがあるのですが、まとまったもの
を読むのは、今回がはじめてであります。
 当方よりも2歳ほど年長でありますが、見事なまでの裏道人生でありまして、決し
て他人様のお手本になるものではありません。
 しかし、「大手、中堅の会社に入れる学歴もなければ、それに代るような気力や
実力の持ち合わせもない。そうしたタイプの若者が仕事を見つけるとしたら」とあり
ますので(もともとは、出版の仕事にかかわる仕事について亀和田さんはいっている
のですが。)、そうした観点から、人生の指南書として読むこともできるのかもしれ
ません。
 「学歴と気力、実力」に「家柄」というの加えていいのかもしれませですね。
亀和田さんは、現在の首相と同じ大学の卒業生であるようです。一回目は波にのること
ができなかった首相ですが、今回はつきも味方して、いまのところ怖いものなしで、
自分の信ずるところをまっしぐらであります。「学歴と気力、実力」が十分とは思え
ない彼には、「家柄」という切り札がありましたか。
 一方の亀和田さんはであります。
「私は当時のワイドショーが好きだった。鼻持ちならないインテリ志向のマダムたち
が毛嫌いする芸能人のゴシップや、凄惨な事件から政治家のスキャンダルまで。
ワイドショーには社会のすべてが詰まっていた。俗っぽいことが大好きな私は嬉々と
して、家とスタジオを往復した。『ワイドショーの司会者って、オマエには天職だな』
と、学生時代からの親友に言われたことがあったが、まさに図星だ。
 天職、天職。二十代なかばに裸の写真やマンガでいっぱいの俗悪三流誌を編集して
たときと同じように、私はなんの屈託もなくワイドショーの仕事に精をだした。
原稿書きの仕事もこれまで以上に力を入れて、手抜きせずにこなした。」
 やはり、一生懸命にやらなくてはいけないということであるようです。