町から本屋が 2

 昨日の永江朗さんの文章を借りると「消えたのは本屋だけじゃない。」であります。
 永江さんがあげているのは、「レコード屋も文房具屋、喫茶店も」となりますが、
この町に大型店が進出してくる1960年代後半まで、駅前を起点とする商店街から
アーケードのある商店街までを歩くと、今は無くなってしまったお店がたくさんあり
ました。
 当方がいまでも閉店してしまって残念だなと思うのは、店先でおまんじゅうをふか
して販売していた食堂(ここはむしろおまんじゅうのほうが人気があったようです。)
でありました。あとは和菓子屋さんもそうであります。どちらも労多くして客単価が
安いというもので、売れないからといってべらぼうな値段にすることはできず、
いつのまにか店を閉めることになってしまいました。そのむかしは、こうした商店街
を歩く人たちがいて、近所の人や買い物客たちが、こうした店に立ち寄ったのであり
ますが、いまは買い物で歩く人は皆無であります。
 郊外に進出した大型のショッピングモールにいきますと、かっての商店街のように
専門店が軒をつらねているように見えるのですが、そこにはたいやきやさんなども
あるものの、これがまるでおいしくないのでありますね。こうしたモールに店を
だすためのコスト(特には家賃の高さ)を考えますと、同じ値段であれば、かっての
お店で販売していたたいやきのほうが、ずっと贅沢な仕様であることは間違いない
ことです。
 つくづく、最近の人たちは、高い金をだしてまずいものを食べていることと気の毒
になってしまいます。
 それはそれとして、「本の雑誌」12月号には、杉江由次さんが書く「かってそこに
本屋があった」という文章があります。
「よく考えるとそこに本屋さんがあったときには毎月のように訪問していたのに、
本屋さんがなくなったとたん訪れることもなくなり、たとえお店の前を通ったと
しても、閉店後にどうなっているかなんてまったく興味がわかないもんですね。」
 杉江さんが「毎月のように訪問」というのは、「本の雑誌」の営業でいくからで
すが、仕事場から通勤のためにつかう駅の途中にある本屋でありましたら、ほとんど
毎日のように訪問ということになります。