中公文庫 40周年 9

 本日の朝日新聞のコラム「甲乙閑話」は、「中公文庫」の「肌色の背表紙」がテーマ
でありました。中公文庫で肌色背表紙というと林達夫さんの著作もそうでありました。
 最近の中公文庫にも良いものはあるはずと思って、ここ数年に購入したものを思いだ
しておりました。今の中公文庫にどのような背表紙の色があるのかわかりませんが、
近年に購入したものは、どちらも薄い青でありました。

つぶれた帽子(中公文庫 さ 58-1)

つぶれた帽子(中公文庫 さ 58-1)

 2011年4月から8月にかけて中公文庫より刊行された佐藤忠良さんの二冊であります。
ちょうどこの刊行となるにあわせたかのように、佐藤忠良さんはお亡くなりになり
ました。
 どちらもとてもていねいな造りの文庫本で、しかもこれが普通の値段で販売されて
います。これってとってもすごいことです。このことは、声を大にして言わなくては
いけません。
 いまだってやるときはやるよといっているようにも見える中公文庫でありますが、
こちらは、この二冊を読んでいるはずなのに、一月ほど前に「佐藤忠良展」を見物
してきたときに、佐藤忠良さんが「シベリア抑留」されていたんだなんて、つぶやく
のでありますからして、なんともなさけないことであります。
 こうしたものがシリーズになればうれしいのですが、なかなかそうはいかないよう
であります。
 またまた昔の中公文庫でありますが、福永武彦さんの「玩草亭百花譜」というのが
三冊本でていたのを思いだしました。あれもよかったなと思いますし、今では古本でも
そこそこの値段がしていますが、こういうのはまただしてもらえないのかな。