山の子供 7

 北海道の千歳川には第一から第五までの発電所があり、一番多いときには社員と家族
をあわせてずいぶんな人が生活をしていたと思われます。今も発電所は稼働しているの
でありますが、現在はほとんど自動化されていて、社員は町からの通いとなり、発電所
のまわりにあった社宅は、すっかり姿を消しています。
 ちなみにこの発電所からおくられる電力は、東日本では珍しい60ヘルツでありまし
て、ここから電力供給を受けている町に所在の王子製紙の工場と社宅は、周囲にある
北海道電力から供給を受けて50ヘルツ地域とは違った文化圏にあるという感じでした。
 最近は、ほとんど意識もしなくていいのかもしれませんが、その昔は電気時計とか
レコードプレーヤーというのがあって、これらは50ヘルツと60ヘルツでは動きが違いま
したので、そのヘルツ数にあわせたセッティングをしなくては、正しく作動しませんで
した。王子の社宅に住んでいる人が電気時計を購入して、壁にかけてコンセントにプラ
グをさしこむと動くのですが、時計が進みすぎてうまく作動しないということになりま
す。
 ということで、この町の電気やさんは、王子の社宅に住んでいるというと、そうした
電気製品を60ヘルツ用にして販売してくれるのでありました。(社宅住まいの方が、
社宅をでて北海道電力の配電地域へと移りますと、これと反対のことが必要になりまし
た。)
 最近もDVDプレーヤーとかはヘルツ数によって回転差がでるはずですが、それは部品
を取り替えるのではなく、ハイテクによって自動的に調整されるようになっているよう
であります。
 この発電所出身で一番の有名人というのは、なんといってもスピードスケートとか
アイスホッケーの選手で、冬季オリンピックに出場した方々でありました。社宅に住ん
でいるどこそこの息子さんが、オリンピックにでて、その報告会が発電所の集会所で
あるという具合でした。
 それと較べると、畔柳二美さんはほとんど話題になりませんでしたね。