最近の購入書から 5

 ピーター・バカランさんの岩波新書「ラジオのこちら側で」を読んでおりました。

ラジオのこちら側で (岩波新書)

ラジオのこちら側で (岩波新書)

  読んでいて一番じーんとしたのは、次のところです。
「『サタディ・ナイト』は土曜夜8〜10時の二時間生放送でした。番組のプレイリスト
は、放送翌日か翌々日には、登録者にeメールで流していたので、ぼくも毎週彼のリスト
を見て、あれこれと自分の選曲のために仕入れの参考にすることもありました。
 リストを見ているだけだと、・・・放送が聴けなくて欲求不満になることもありま
した。そこで母に頼んで、120分テープに毎週チャーリーの番組をエアチェックして
もらい、ある程度たまったところで、月に一度くらい送ってもらうことにしました。
三〜四年は続けたと思います。
 僕が知らない音楽への興味もありましたが、それらの曲について彼が何を語っている
のかを聞きたかった。」
 これは90年代後半くらいの話でありましょうか。東京に住む息子のために、英国に
住む母が、毎週のようにBBCローカルで放送されるチャーリー・ギレットの番組を
120分テープに録音をしてくれるのでありますよ。なんともいい話ではありませんか。
この時にバラカンさんのお母様がおいくつかわかりませんが、70歳くらいになってい
たのではないでしょうか。
 毎週、きまった時間にラジカセ(でありましょう)にテープをセットして録音すると
いうのは、けっこうたいへんなことであります。遠くにいる息子を思ってのことです。
「チャーリーの番組のほかに、もうひとつ、ジョン・ピールの番組も送ってもらって
いました。早朝のトーク番組で、特に音楽はかけず、とるに足らないような話題で
リスナーとのコミュニケーションをメインにした番組でした。・・・
母は、ぼくがジョン・ピールを昔から好きだと知っていましたし、彼女自身も番組を
面白いと感じたらしく、ついでに録音してくれたのです。」
 昔はカセットテープにラジオ番組をよく録音をしたものです。カセットテープは
使い勝手がよいメディアで、我が家にもたくさん残っています。
エアチェックしたもので、一番多いのは山下達郎さんの番組でありまして、土曜日に
放送されていたものとかもあるはずです。これを全回とっていれば、けっこうな
コレクションになるのでありますが、とってもそんなことはできずでありました。
こちらの番組はすでに20年をこえてやっているのですが、かって当方が不在時に
かわって録音してくれた、当時の中学生は、そろそろ中年になろうとしています。
 母に録音を頼むべくもなかったことで。