ありえへん世界

 本当にTV東京「ありえへん世界」で取り上げられた加藤九祚さんの現在には驚きまし
た。いまは91歳とのことですが、現役で遺跡の発掘調査をやっていて、これはほとんど
現地に骨を埋める覚悟と思えました。
 この番組では、加藤九祚さんは1945年から50年にかけてシベリア抑留されていたこと
が紹介されていましたが、これは加藤さんが23歳から27歳にかけてのことであります。
ご本人は、この時代の経験を「国費をもってソ連に留学をしていたようなもの」と前向
きにとらえていたといっているそうです。シベリア抑留を生き抜くというのは、肉体的
に強いことはもちろん、精神的にも柔軟なことが必要なのでしょう。これとくらべると、
現代の「ありえへん世界」なんて天国のようなものであるのかもしれません。
 加藤九祚さんの、新刊は「シルクロードの古代都市」ということで中央アジアに関す
るものですが、最初に購入したのは、次のものでしょうか。

 しかし印象に残るのは、なんといっても次の著作であります。
月と不死 (東洋文庫 (185))

月と不死 (東洋文庫 (185))

 これは平凡社東洋文庫に収録となったニコライ・ネフスキーの著書であります。
ほとんど当方にとっては猫にコバンのような本ですが、この本を手にするにいたったの
は、山口昌男つながりでしょうか。山口さんが紹介している「石田英一郎」さんの
「桃太郎の母」にある「ネフスキー先生の思い出」を読んだからと思われます。
 この東洋文庫版「月と不死」には、巻末解説として100ページにも及ぶものが掲載さ
れていますが、これの筆者が加藤九祚さんでありました。これを発表したときの加藤
さんは、平凡社の社員であったのでしょうか。
 この解説をもとにして発表したのが、加藤さんの代表的な次の著作となります。