世間の人 6

 本日の朝にすこし早く起きて、2012年の「ちくま」の発掘作業を行いました。
物置の段ボール箱にはいっている「ちくま」を何冊か発見せりです。
鬼海さんの連載一回目は、先日にもふれました「たくさんの衣装を持つお姐さん」で
ありました。この「ちくま」一回目の表紙は以下のものです。写真の部分だけを大きく
して掲載しようかとも思ったのですが、それは失礼なので、表紙として見ていただく
ことにします。

 先日に、「ちくま」に掲載の文章の多くは捨てられているのではと記しましたが、
本日確認をしてみましたら、ほとんど収録されているようです。掲載誌がまだ全部
確認できてはいないのと、必ずしも発表順にならんでいるわけではないので、すべて
あるのかどうかはわかっておりません。
「世間のひと」に収録で一番多いのは、「たくさんの衣装を持つお姐さん」の肖像で、
このお姐さんについての文章も二回ありました。
 まあお姐さんについては、写真を見てくださいで、この写真がなによりもその人と
なりを雄弁に語っているのでありまして、このお姐さんについてぐだぐだとは書いて
いないのであります。
 連載初回の文章では、次のように書いてました。
「お姐さんとは、二十数年前から『たくさんの衣装をもつお姐さん』として何度も
撮らせてもらっている女性だ。顔見知りになって長いのだが、互いに名前も住んで
いるところも知らない。
 興行街を歩いていると、前方から相変わらず目立つ格好でやってくる。以前から
小柄な躰を左右に揺らし歩いていたが、その幅が大きくなっている。
『先生のお陰で、すっかり有名になって・・・。缶コーヒーを奢る・・・」と二年前
と同じことをいう。
 とりあえず、いつものように境内の壁をバックに撮らせてもらうために一緒に
並んで歩いた。歩調をあわせるのだが、お姐さんは遅れがち。」
 このお姐さんのポートレートに、鬼海さんの文章を添えたら、良質な短編小説に
なりそうです。この2012年1月号に掲載の「缶コーヒー」という文章ががあって、
2013年4月号には「たくさんの衣装をもったお姐さん」というのがありです。
さすがに、お姐さんのポートレートが表紙を飾るのは一度だけですが、表紙裏の
文章には二度登場し、堂々のヒロインぶりであります。