本が本を呼ぶ 4

 甲斐扶佐義さんの「京都猫町さがし」というのは、中公文庫の一冊となりますが、手の
ひら絵本というシリーズででたもので、各ページに甲斐さんが撮影した猫の写真が入って
います。甲斐さんは、「ほんやら洞」と「八文字屋」をやるかたわら、写真家としても
活動をしているのでした。
 どういうきっかけで写真集を出すようになったのかはわかりませんが、著者紹介には
著書多数とありますので、撮り溜めた写真を編集しては写真集として刊行していたよう
であります。この「京都猫町さがし」ももとはといえば、自費出版で版元は「八文字屋」
とありますが、版元は甲斐さんがやっていた居酒屋となります。
 この文庫本の巻末には「私的ネコ道探索コース案内」という文章がありまして、それ
には、次のようなくだりがあります。
「八文字屋、ほんやら洞を除いて、私の写真集をちゃんと置いて、売ってくれているの
は、丸善ジュンク堂恵文社あーす書店だけだ。本を置いてくれていると、足もつい
むかう。・・・ 
 万里小路から東へいくのは、あーす書店の玉ちゃんの顔をみるためだ。ここは、『ほん
やら洞通信』のバックナンバーも八文字屋本の美女写真集もおいてくれている。」
 八文字屋、ほんやら洞は、自分が経営をしているところですから、ここに置いていると
いうのは当然として丸善(今はなき)とかジュンク堂(2000年当時の店というのはどこ
の店かな)がおいてくれたとは不思議な気がします。恵文社は当然としてあーす書店と
はどこのことかな。あーす書店を検索してみたら、いまは閉店しているようであります。
ここにあっても不思議でないのに名前がない本屋さんというのは、三月書房でありましょ
うか。