学問の春 3

 山口昌男さんは、もともとが道化役(アカディミックフール)というのが
売りでありますので、こういう方を学長にするということじたいが、経営側の
誤りであるのかもしれません。山口さんは、ポストに執着するわけではないの
ですから、どこまでいっても我が道を行くでありまして、ポストについたから、
考えをかえて折り合いをつけるなんてことはないのであります。
 この「独断的大学論」をみていますと、なんとはなしに長野県で知事をして
いた田中康夫さんのことを思う浮かべることです。 

独断的大学論―面白くなければ大学ではない!

独断的大学論―面白くなければ大学ではない!

 この本は、学長室を開放してギャラリーをつくってしまったり、自分の蔵書を
寄贈して、学内の図書館とは別に「山口文庫」を立ち上げてしまうようなこと
でも普通の学長ではないということがわかります。こうした動きを通じて、
学内よりも学外にファンと味方が多くなったのですが、そのことが学内の主流派の
神経を逆なでしたということでしょう。
「大学は閉ざされた空間であってはいけない、開かれた空間にして、学生や市民を
巻き込んで面白い場にしていく必要がある。私が考える『これからの大学像』を
簡単にいえば、こういうことになります。・・・・
 こうした『ギャラリー学長室』の存在は、札幌大学にFランクをつけるような
受験産業はあまりご存知ないでしょうし、聞いても、その意味が理解できないかも
知れません。ギャラリー以外にも、点数主義でしかものを考えられない頭では、
とうてい思いつけないようなことを札幌大学ではすでにいろいろと行っています。」