平凡社つながり 29

 どうやら当方にとっての平凡社というのは、林達夫さんを源流とするもののようで
あります。蘆原英了さんは、林さんの中央公論社での部下ということになるのでしょう
か。その後、平凡社の大百科事典事典のブレーンとなって、自らもいくつかの項目を
執筆していますが、その蘆原さんの著作を現在に刊行しているのは平凡社出身の編集者
村山恒夫さんの新宿書房となります。
 平凡社つながりの最後は、日本編集者学会の石塚純一さんのことになるのですが、
石塚純一さんは、山口昌男さんの招きで札幌大学文化学部の教授を勤められていました
から、平凡社時代に直接の関わりがあったかどうかはわかりませんが、山口昌男さんを
通して林達夫スクールの一員ということになります。
 拙ブログに登場する石塚さんは、山口昌男ラビリンスのガイドとしてでありました。
( 石塚夫人のことは、アリアドネーと記したことがありました。)
 札幌大学は学部を改組して、文化学部は姿を消すことになったようです。山口昌男
さんが追われるように大学を去ってから、何年になるのでしょう。改組にあわせるよう
に石塚教授も大学を離れたようです。(年齢による定年であるのかもしれませんが)
山口昌男石塚純一がいない札幌大学には、山口昌男の迷宮が残されました。
石塚さんが全国紙の地方版に「山口昌男文庫が誘う迷宮」という文章を寄せています。

 山口昌男文庫というのは、ほとんど大学内においては鬼っ子のような存在でありまし
たが、いまは大学公認となったようにも思えるのですが、この文章のなかで石塚さんも
お書きになっているように「大学の地下に安住したかに見えるが常に仮設的で
ノマディックな動きを孕んだ場所なのだ」であります。この時代にあって、山口文庫を
まるごと引き取って公開しようなんていう太っ腹なところはないでしょうね。