カズミさんつながり

 佐伯一麦さんという名前が本名でありましたら、これは一粒の麦に関係が
あるのでしょうか。一麦というのは、けっこう珍しい名前ではないかと思いますが、
これと同じ呼び名で、文字も新字と旧字の違いだけという一麥さんという人が
最近、本を発表しました。仕事を退職してから入学した大学院の論文に、自分の
父親が残した日記をテーマに書いた以下の本です。この本は、いまだに入手するに
いたってはおりませんが、本日の話題からは、気になるもので、次に手にしたときは
購入をすることにいたしましょう。

 平井一麥さんのことを「カズミちゃん」と呼んでいたのは、作家の八木義徳さん
でありまして、平井さんは、父の友人の作家のことを八木さんと呼んでいたと
あります。
「ずっと八木さん、カズミちゃん」という平井一麥さんの文章は、八木義徳さんの
文学展のために寄せたものであるようです。
「 八木さんのことが父の日記に最初に登場するのは、昭和23年4月16日で
『八木君来訪、新世代社へ同行』だ。同社は『文藝時代』を刊行する出版社だった。
このころ二人は、週に一二回はあっていた。当時の私は小学二年生に過ぎなかった
から、八木さんは、私のことを『カズミちゃん』と呼んでくださったし、私も八木さんと
お呼びしていた。・・・・
 六十歳近い私を、ずっと『カズミちゃん』と呼び続けてくださったのは、父の友人の
なかでも八木義徳さんお一人だけだった。」
 八木義徳さんにゆかりの北海道文学館で「文学の鬼を志望す 八木義徳」展が開催さ
れていますが、それにちなんで北海道新聞には佐伯一麦さんが「八木義徳さんの思い出」
という文章を寄せておられます。
八木義徳さんにちなんで、二人のカズミさんが文章を寄せていることになります。