カズミさんつながり 4

 佐伯一麦さんが、野口富士男文庫主催の講演会で、自分のペンネームと野口さんの
息子さんの平井一麥さんの名前の関わりについて言及しているという書き込みをいた
だきました。この講演は越谷市立図書館の「野口富士男文庫」から、この3月に冊子と
して刊行されたようですので、ちょうどタイミングがよしでありまして、これを入手
するようにしてみることにいたしましょう。
 本日も佐伯一麦さんが八木義徳さんについて記した文章から話題をいただきます。
「 私は48歳という年齢差を超えて、八木さんの晩年の12年間の知遇を得ることが
できたが、お目にかかったすべての機会に共通して思い出されるのは、同席している
人たちを質問攻めにしている姿である。・・・
 ゆったりと落ちついた声音を聴きながら、私は、もしも樫の古木が言葉を発したと
したらこんな感じだろうかと思わされたものだった。・・
 子供のような好奇心を全身に漲らせ、真剣に相手の話に耳を傾けている八木さんの
姿に接するたびに、作家とはかくあるべき、と感じいったことを私は今に忘れない。
げんざいでは周りを見回したりしても、そういう作家の姿は、すっかり後をたって
しまった。」
 48歳も年長ということは、父親の世代をとおりこしてじいさまの世界の人と
いうことになります。小生のほぼ48歳上というと、健在であれば、ことし百歳を
むかえることになる世代でありますが、こうした世代の人々に私淑するなんてことは
なかったことで、その点からも、佐伯一麦さんの趣味のじじむささを感じる事であり
ます。