芥川賞と名作 3

 それにしても、昨日に記しました芥川賞の候補は、そうそうたるメンバーで
ありまして、この時の候補者は、ほとんど、その後に芥川賞を受けることになるの
でした。佐伯一麦さんの、このときの作品はともかくとして、その後の活躍を
みますと、どこかで芥川賞をあげておけばよかったと思う事でしょう。
 新人といわれる時にピークをむかえて、その後に作品に恵まれないほうが
いいのか、新人から中堅にむけて成熟を増してよい作品を残したほうがいいのか
ですが、やはり後者でありましょう。
 小生が好きな小説家は、数回候補にはなったけど、ここ一番のところで運が
なくて受賞することができなかったという人が多いようです。小生ひいきの
条件に、そうした運のなさも加味されているのかもしれません。
 ここ三十年くらいの受賞者のなかで、一番その後ぱっとしないのは誰であろうか
と思いながら、この本にあるリストを眺めるのも一興です。初めて候補となって、
その時に受賞する幸運な人もいるのですが、そのかたが大成したかどうかは、
疑問の残るところです。