朝日新聞社が快調です。

 このところ、朝日新聞社の出版物が快調なようです。最近あちこちのブログで話題と
なっている小西康陽さんの「ぼくは散歩と雑学が好きだった。」も、まさか朝日新聞社
からでるとは思ってもみなかったもの。小西さんの前著が幻冬舎でありまして、そこ
そこ評判であったわけですから、幻冬舎が執心であってもいいのに。最近は、編集者の
異動も頻繁であるようで、これまでとまったく違ったジャンルの本をだすというのは、
編集者の移籍によるものでしょうか。
 朝日新聞のPR誌「一冊の本」の新刊案内をみますと、毎月ずいぶんと本がでて
いますが、最近の一番眼をひくのは「萩原延壽」さんのものが継続してでている
ことでしょうか。
萩原さんのライフワークとなった「遠い崖」がそろそろ完結に近づいているほか、
萩原延壽集というのもでているのですね。
 「遠い崖」はなんとか読もうと思っているのですが、つまみよみであるせいも
あって、なかなか前進せずです。もともと歴史が弱いせいもあって、登場人物になじみ
がないというのが致命的です。10月に一冊目を手にして、本日にやっとこさ第1巻の
終わりにたどり着きました。これが興味をもって読んでいるのは、NHK大河ドラマ
篤姫」のおかげであるかもしれません。萩原さんの著作は、歴史かによるもので
ありますので、司馬遼太郎などの小説とは違って、ほとんど資料にもとづく事実の
積み重ねで記述されるのですが、これってけっして読みやすいものにはなりません。
第2巻は、「薩英戦争」ということですから、これは「大河ドラマ」とかぶることで
あります。
 萩原さんの本で、一番なじみやすいのは「書書周遊」(文芸春秋社)でありますが、
これは文庫になってもいいと思うおすすめなのに、なぜが入手困難であるようです。
これが朝日新聞社の「萩原延寿集」の第5巻としてでています。元版とくらべると
すこし値段は高いのですが、とりあえず、容易に手にすることができるようになった
ことを喜ばなくてはいけませんですね。(今、検索をしてみたら、この本は朝日選書に
はいっていることがわかりました。)
しかし、それにしても不思議なのは、萩原延壽さんはどのようにして生活していたので
しょうかね。大学に所属するわけでなく、ベストセラーを連発することもなく、資料
調査を続けていたのですが、こうした生活を可能とするためには、ずいぶんと蓄えが
なくてはできないことです。むかしの高等遊民をほうふつとさせることです。
高等遊民というのは、結局はなにも残さなかった人をいうことがおおいのですから
して、萩原さんを高等遊民というのはあたらないことです。)