本日の広告から

 当方が講読している新聞は四月から読書欄は土曜日へと移動してしまったのですが、
いまだにその曜日に読書欄になじむことができないことであります。
新聞の読書欄と本の広告はリンクするかたちで、紙面をつくっていたように思うので
すが、読書欄は土曜日にうつっているのに、書籍の広告は、いまだ日曜に残っている
という感じなのが、紙面に違和感を覚えるのでしょうか。
 読書欄が掲載だからと土曜日の新聞を購入しても、出版社が力をいれた企画ものの
掲載が日曜であれば、これはスポンサーと読者のどちらも残念となります。
 そんなふうに感じたのは、本日の新聞広告に「講談社 創業110周年記念企画」と
銘打たれた「大江健三郎全小説」があったからですね。
この企画は、昨年7月くらいに拙ブログでも話題としたことがありまして、こういう企
画が進行していたのは、承知しておりました。
( http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20170702 この日のコメント欄 )
 本日に新聞広告がでていたのは、いよいよ7月10日から刊行開始となることと、全巻
予約しますと3つの特典がありますよとのアナウンスのためでありました。
この広告を見ましたら、特典というのは、
 1 著者直筆サイン色紙
 2 直筆原稿レプリカ
 3 「私と大江健三郎」集成
だそうです。
 全巻予約は、どのくらいのセット数を見込んでいるのでしょう。サイン色紙は、その数
だけ作家が書くということで、これは印刷ではないでしょうから、べらぼうな数字では
ないようですね。
 新聞広告には、筒井康隆さんと中村文則さんの文章の一節が掲載されているのですが、
これらは「群像」掲載のリレーエッセイからのもの(このリレーエッセイをまとめたもの
が予約特典の「私と大江健三郎」集成となる。)だそうです。
 この全小説には、これまで地下出版でしか読むことができなかった「政治少年死す」が
はじめて収録されたと話題でありますが、作品数が多い大江作品から、どの作品をとって、
どれが入らないか、気になるところでありますが、全小説の具体を知りたいと思って、
内容見本でも入手しましょうかと、この広告を隅から隅までみても、どこにも内容見本に
ついての記載がありません。
 これは内容見本が作られていないのかなと思うのですが、講談社と比べると、比較にな
らないほど小さな国書刊行会が「後藤明生コレクション」刊行に際して、内容見本を作成
し、さらに自社のネット上に内容見本を反映し、しかもダウンロードが可能としていたこ
とを考えると、ずいぶんとさびしいことであります。
 講談社は、自社6階講堂で6月に全小説刊行記念シンポジウムを開催するとのことです
が、これをやるから、内容見本はなしねということにはならんでしょう。