はじめての平野本

 初めて手にするのが、これかよっていわれそうでありますが、平野啓一郎さん

の本を図書館から借りてみました。

「カッコいい」とは何か (講談社現代新書)

「カッコいい」とは何か (講談社現代新書)

 

 平野さんは、そろそろベテランといわれそうな作家さんですが、これまで

縁がナシで小説は読んだことがありませんです。なんとなく自分よりも年長の

作家さんのものをありがたがるところがあって、自分の子どもに近い世代のも

のなんか読めるかよという気分であったかもしれません。

 そうこうしていたら、ほとんど現役作家では読む人がいなくなって、ちょっと

あわてるということになりです。

 本日の図書館でこの本を手にして、あとがきに平野さんが「本書は小説以

外では、この十年来、私が最も書きたかった本で、準備のために資料を読んで

いても、実際に執筆していても、頗る楽しかった。」と書いているのをみて、

これを読んだら平野さんの楽しい気分が伝わってくるかなと思いました。

 この本のなかを覗いていたら、「ヒップ」と「スクエア」という仕分けがあって、

ここには1967年USAの「コスモポリタン」誌が行ったという、この二つの対照

表の一部が掲載されていました。

 1970年頃に、これは話題になった話でありますね。このようなことに目を

むけてくれたのは大江健三郎の「厳粛な綱渡り」あたりの分厚いエッセイ集で

ありまして、当時大江がひいきにしていて、良く言及していたノーマン・メーラー

の「ぼく自身のための広告」にあった話題でもあります。

 本日にのぞいた平野さんの本は、50年も昔の読書につながることでありまし

て、平野さんは、現代の大江の立ち位置なのかと思いながら、のぞき見を続け

ることになりです。  

厳粛な綱渡り―全エッセイ集 (1965年)

厳粛な綱渡り―全エッセイ集 (1965年)