落雪に注意

 雪の少ない当方の町ではありますが、先月22日から降った雪が屋根に積もってい
て、それがこのところの暖気のためにゆるんでいます。いまにも屋根から滑り落ちて
きそうです。軒からでた雪庇が1Mをこえて、下から見上げますとサーフィンで波頭の
下にいるがごとしです。

 本日はお天気が良く、日中はストーブなしでも過ごすことができました。昨日に購入
した「ジニのパズル」の最後のページまで、なんとかたどりつくことができました。
数年くらい前から、すこし若い人の書く小説を読まなくてはと思っていたのですが、
このところ若い女性作家たちのおかげで、当方の読書世界も広がりつつあって、本当に
うれしいことです。
 崔実さんの「ジニのパズル」は、なんとなく私小説として読んでしまいそうですが、
主人公ジニは、作者が投影はされているものの、作者のことではありませんですね。
ほとんどこれと同じ体験をされていたりしたことがあるでしょうが、それを生の形で
だすのではなく、フィクションとして作りかえられています。そういう操作をして
言葉で作品世界を作っていくのが小説だということが納得される作品です。
 この主人公の一番重要な体験をしたのが中学校1年の時というのは、すこし子ども
過ぎて、あと1,2年後の設定でもよかったかなとも思ったりしますが、そうしますと
異文化にはいりこんで、そこで自家中毒をおこすということがあわなくなってしまっ
て、このあたりがなかなか難しいところだと思われました。
 主人公に大きな影響を及ぼす朝鮮民主主義人民共和国の現在のありようは、これから
戦時下態勢にはいっていこうとした時代の日本のようにも思えるのですが、ご真影とか
奉安殿とか遙拝という事も復活しそうな日本が目指すのは、かの国を範とする自由民主
主義帝国であるのかもしれません。
 ということで、いつ作中人物のような境遇におちいるかもしれないという気持ちで
在道四世(アイヌの人々がかって暮らしていた国に渡って四代目)の当方は読んだので
ありました。