ありえへん人 2

 本日は十五夜さんで、中秋の名月であります。当方の地域は、お天気が良くずっと
お月さんを見ることができています。
 そういえば、本日の朝日新聞天声人語」は、月が話題でありました。月旅行から、
宇宙開発での月資源のこととなって、それから中秋の名月へと話題は転じます。
「北海道で教鞭を執ったロシアの民俗学者ネフスキーは日本や中国の詩に、
月のモチーフが多いことに驚いたという。日本人にとっての月とは『世の中の歓楽
喜悦は永劫のものでなく、何時か最後が訪れる』ことを感じさせるものだと説いた
(『月と不死』)。 現実を超える魔力があるのだろう。」

月と不死 (東洋文庫 (185))

月と不死 (東洋文庫 (185))

 ここでニコライ・ネフスキーの名前が出てくるのも、なにかの縁でありますね。
本日の「天声人語」は月の話題ですからして、ネフスキーがあって、加藤九祚さんへ
の言及がないのは残念ですが、最近の天声人語は、昔ほど文字数がないので、余分な
ことは盛り込むことができませんですね。
 ネフスキーの名前がでたのはよろしですが、「北海道で教鞭をとった」とあるのは、
そのとおりですし、夫人は北海道の人ですから、そう書いてもらうと道産子は喜びま
すが、「月と不死」を執筆したのは、大阪外国語学校時代ですから、なんとなく大阪
に悪いような気がします。
 ネフスキーの「月と不死」という論文は日本語で書かれたもので、ごくごく短い二つ
のものからできていますが、これがわかりやすい言葉でかかれているものの、なかなか
理解できないという難物であります。
 平凡社東洋文庫「月と不死」は、その三分の一くらいは加藤九祚さんの手による解説
となっています。そして、それに加筆訂正を加えられて一冊となったのが「天の蛇」と
なるわけです。(この東洋文庫版「月と死」に引き寄せられることになったのは、
やはり山口昌男さんのおかげで、山口さんが石田英一郎さんの「桃太郎の母」を紹介し
ていて、この「桃太郎の母」の中に、ネフスキーが登場するのでした。)
新訂版 桃太郎の母 (講談社学術文庫)

新訂版 桃太郎の母 (講談社学術文庫)

 昨日に当方が手にしていたのは、「天の蛇」の元版で、これの完本は元版にさらに
加筆され、決定版となっています。加藤さんが亡くなったと聞いて、あわてて、これ
まで購入することができずにいた完本「天の蛇」を注文したのでした。