最強の待合せ本

 昨日に診療までの待合せ時間に読んでいた坪内祐三さんの「文庫本宝船」について
です。当方にとっては、これは最強の「待合せ本」であります。

文庫本宝船

文庫本宝船

 かって浪速書林版「署名のある紙つぶて」を楽しんでいた人に、この本はおすすめ
でありますが、いまどきそんな人は、ほとんどいなくなっているようですね。
9年ぶりに週刊文春の連載がまとまって刊行されたというのに、そのわりに話題となっ
ていないようで、これは非常に残念なことです。
 拙ブログでは、昨日にこの本のAmazonへのリンクをはってみたのですが、同じよう
にリンクをはっている人が、ほとんどいないというのは、どうしてでしょう。
 当方が思いつくブログでも、これまでであれば、あれとかこれとかが坪内さんの
この新刊をとりあげたことでしょうに。その方たちはブログからFacebookなどに転じ
たからかもしれませんが、それにしてもさびしいことです。
 ほぼ同じ頃に書かれたちくま文庫版「文庫本を狙え!」と「文庫本宝船」に寄せた
坪内さんの後書きでありますが、「文庫本宝船」のほうは、うんとトーンが暗いこと
です。この連載が続いているうちに起こった出版状況をめぐる変化と、それと軌を一
にする坪内さんの本が売れないということが、「文庫本宝船」の後書きになっている
のでしょうね。
 坪内さんの後書きから、すこし引用です。
「私には夢があります。
 この連載を千回続けたい。
 もし千回続いたらその時連載をストップするかもしれません。」
 連載千回といえば、あと二年後くらいでしょうか。それで終わってしまうのか、そ
れともさらに続くのか、それもこれも、この本がどのくらい受け入れられるか(売れ
ることではなく)にかかっているようです。
 それにしても、この千回にこだわるところは、孤独な横綱 白鵬関に似ていなくも
ありません。坪ちゃんは、書評コラム界の白鵬なのかな。