本日のブックオフで 2

 工藤正廣さんの「秋田雨雀紀行」を手にしています。

”秋田雨雀”紀行

”秋田雨雀”紀行

 工藤正廣さんは、ふるさとを同じくする秋田雨雀さんのごく初期の作品を取り上げて
アイヌの煙」と「おそのと貞吉」の作品世界を、その描かれた場所を訪ねることで
読み解いていくことになります。
 あろがきにありますように、工藤さんが黒石出身で北海道に住んでいることと、ここ
で取り上げられた作品と関係しているとのことです。「おそのと貞吉」という作品では
秋田雨雀さんの方言記述について考察したとあります。
 さあっとページをめくって秋田さんとエスペラントにかかわるところはないかと思っ
て見ましたら、これはたぶん残念なことに終わりそうです。
 これまでのチェックでは、この本にエスペラントという言葉がでてくるのは、次のく
だりだけであるようです。
「わたしはかって、秋田雨雀について、というのも彼の、この後のエスペラントやイン
ターナショナルな思想性を考えて、秋田雨雀は『方言をそのまま手付かずにして』エス
ペラントやインターナショナルへ進んだと言ったもんだが、・・方言母語秋田雨雀
いちはやくこの『おそのと貞吉』でいちはやくこの『おそのと貞吉』で、方言をこのよ
うにして作品で大切にしていることは意識していなかったことだった。補助共通語とし
てのエスペラントへの進み方を、わたしは消極的にとらえて、方言については手付かず
にして、と批判したのだったが、これはまちがいである。方言は方言としてそのまま
生命をまっとうして貰い、世界の共通語としてのエスペラントはとても有益な言葉とし
てもちいる、というようなことであったのではないか。」
 ということで、どこまでいってもこの本は、方言つかいの秋田さんに関しての本で
ありました。