「本の雑誌」 8月号 

 本日の午前に「本の雑誌」8月号が届きました。

本の雑誌386号

本の雑誌386号

 今月はどのようなことが書かれているのだろうかと思って、なかをぱらぱらしまし
たら、次の本の紹介にあたりました。
彼らは廃馬を撃つ (白水Uブックス)

彼らは廃馬を撃つ (白水Uブックス)

 いまころに、どうしてこの作品がUブックスにはいるのでありましょう。しかし昨
年9月にチャトウィンの「ウッツ男爵」を、Uブックスのラインナップに加えた人たち
の仕事であります。これをきっかけに、この作品と作者に光があたるとよろしいこと
です。
 「本の雑誌」で紹介をしているのは、都甲幸治さんであります。これについては、
次のように書いています。
「1970年に角川文庫版が出て、1988年には王国社から単行本が出版された本書が刊行
されるのは今回で三度目だが、根強い人気があるのも納得だ。」
 「彼らは廃馬を撃つ」という角川文庫本は、当時書店で手にしたのですが、これを
買うことはなしでありました。いつ頃のことであったのでしょう。たぶん、1972年頃
のことではないかと思います。
 この都甲さんの文章には言及がありませんが、この「彼らは廃馬を撃つ」は映画化
されて、国内でも上映されました。ジェーン・フォンダマイケル・サラザンがでる
のですが、とにかく希望のない映画でありまして、ほとんど一般には話題になること
がなかったと思われます。京都にあった自主上映「名画発掘70」が、この作品をとり
あげてくれたことで、この作品を見ることができました。
タイトルは「ひとりぼっちの青春」というものですから、これはすこし見るのが気恥
ずかしく感じますが、もちろん映画も「彼らは廃馬を撃つ」となります。
(オリジナルタイトルは「 They Shoot Horses, Don't They? 」です。)
ひとりぼっちの青春 [DVD]

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 この映画ではマラソンダンス大会の司会進行役のギグ・ヤングさんがアカデミー賞
助演男優賞を受けています。ギグ・ヤングさんは、TVドラマ「泥棒貴族」という
番組で、当方も顔をおぼえておりました。(このTVドラマは、ずいぶんとすごい
役者さんたちがでていたのでした。)
 当方が、角川文庫版を手にしたのは、この映画の原作本という売り方がされていた
ことによります。こんなお先真っ暗な作品の原作を読まんでもいいわというのが、
その時の当方の感想で、以来40数年であります。この作品が発表されたのは1935年で
すが、失業者が増えて、世界大戦にまっしぐらという時代が背景であります。
 この時代に復刊するというのは、時代の雰囲気に共通するものがあるからでありま
しょうか。