今回の旅には、二冊の本を携行し、本を買うことがなかったので、本は増えることが
なしでした。本屋に寄ることのない、本を買わない旅というのは、ほとんど記憶があり
ません。
持参のもう一冊は、これでありました。
- 作者: 原武史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/10/17
- メディア: 新書
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かであります。本日になって、このような章があったことに気がつきました。
「駅名が文章になる」であります。駅の名前をつらねて文章を作るということになり
ますが、当方は駅の名前は、いくつも知りませんので、文章にするところまではいきま
せん。当方は、このようなお遊びを、原さんの文章ではじめて知ったのですが、この
試みは、1979年9月6日「毎日新聞」夕刊に掲載されたものにあったとのことです。
今から35年も前のことになります。
「海部八郎が、たくらみ、贈った金、うまいことウヤムヤ。高官だけが、ゆうゆうとし、
別格扱いだ。世の中おかしい。こうなると、かげの黒いヤツは、時効を隠れミノ、裏工
作に忙しい。」
この文章を読んでみますと、なんとなくごろが悪いなとは思うものの、この全文が
当時の国鉄の駅名から出来ているなんて気がつく人は、よほどであります。
海部八郎さんとありますので、これは商社による政府高官への贈賄のことを読んでいる
のです。ちなみに、この文章は、海部、八郎潟、倉見、尾久、津、高、根雨、舞子・・
というふうに駅名がならぶのだそうです。
これから35年ですから、姿を消した駅もあるのではないかと思います。
これにならって、原さんもいくつかつくっておられます。
「三島由紀夫が紅潮し、せきこみながら『モ一度言おうか。昭和維新伝達の時だ。』」
後半を省略ですが、「三島由紀夫が紅潮し」とあったことに反応しました。
三島、油木、男鹿、府中、銚子と続いているのだそうです。
そういえば、本日は三島由紀夫が自決した日でありました。1970年のこの日であり
ました。当時バイトをしていた電気店の仕事でテレビのアンテナつけに、お客さんの
ところにいっていたときに、臨時ニュースで市ヶ谷での三島の姿を見たことが忘れ
られません。
原さんが作った「三島由紀夫が紅潮し」の文は、この新書の160ページにありです。
駅名を連ねた文章には「自決直前の三島の無気味な予言を感じる」と、原さんが記し
ています。「無気味な予言」は、この本でご確認ください。