年の初めに 3

 工藤正廣さんが訳した「ドクトル・ジヴァゴ」は、毎日新聞の書評欄の「この3冊」
にもあげられています。
 2013年12月15日の書評欄となります。「この3冊」であげているのは、池澤夏樹
んであります。この池澤さんの評を引用させてもらいます。
「『ドクトル・ジヴァゴ』はずっとパステルナークの詩を訳してきた工藤正廣による
新訳。革命前後の社会の激動の中で誠実に生きようとするジヴァゴの物語は、まさしく
トルストイらの正統ロシア文学を継承するものだ。工藤の訳はみずみずしく、今の時代
に読む文体として完成されている。」
 工藤訳に言及した後段については、そのとおりに感じます。
「正統ロシア文学を継承」というくだりについては、当方は判断することができませ
んが、これがロシア文学にとって重要な作品であるということは、なんとなくわかり
ます。
 ロシア文学の専門家である訳者が、40数年もかけてやっと刊行にこぎつけたもので
ありますからして、読み手のほうもそれなりに時間をかけなくてはいけないようです。
 とはいっても、これにかかりきりになっていましたら、あまりページをかせぐことが
できませんでした。当方の友人たちからは、2013年に200冊読んだとか150冊は読めた
とかいう連絡がはいってきますと、当方の読書量のあまりの少なさに愕然とするので
ありました。
 というわけで、「ジヴァゴ」を離れて、すこしページ数が稼げそうなものを手にして
います。今年上期の芥川賞の本命ともいえる「さようなら、オレンジ」ですが、芥川賞
にノミネートされている作品を読むなんて、本当にひさしぶりのことであります。
これなら、芥川賞の選考会までには読み終えることができますでしょう。