年の初めの 7

 斎藤愼爾さんが選ぶ文庫本の解説ですが、中井英夫さんの文庫本からのもう一冊は、
次のものでありました。
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 いつもはアマゾンでリンクができるのでありますが、これはアマゾンでは文庫全集
の一冊しかあがってきません。斎藤さんがあげているのは、上にある講談社文庫本で
ありまして、「黒鳥譚・黒髯公の城」が一緒になっているものです。
(そういえば、いまは中井さんの文庫本は、講談社文庫で何冊かでていたのですが、
最近は「虚無への供物」だけしかないのではないかな。)
 この文庫の解説は「相澤啓三」さんであります。中井英夫さんの作品を取り上げて
いる人として、相澤さんのお名前は以前より眼にしていたのですが、この方がどの
ような人かは、まったく知りませんでした。最近はネット検索をしますと、この方の
プロフィールを見ることができるのですが、この方は朝日新聞社の方で、「アサヒ
カメラ」編集長をなさっていた人でありますか。
 この本での相澤さんについての紹介は、次のようになります。
「相澤啓三 1929年〜 詩人・評論家。山梨県生まれ。朝日新聞社入社、『アサヒ
カメラ』編集長などを経て退職。音楽評論に『そして音楽の船に』『オペラの快楽』、
詩集に『墜ちよ少年』『罪の変奏』他。」
 この「黒鳥譚・黒髯の城」の解説に寄せた斎藤さんのコメントです。
中井英夫は私に語った。『黒鳥譚』の脱稿に二十年の歳月を要した』と。中井の
文学的同志 相澤啓三氏は知る人ぞ知る天才詩人、音楽評論家。
<知る人>は吉岡実、鷲巣繁男、塚本邦雄飯島耕一大岡信。『現代詩文庫』未収
録詩人では橋本真理と双璧。」
 斎藤さんは天才詩人というのですが、その作品を読んだ人は、多くはないようです。
現代詩文庫未収録というのは、なぜでありましょうか。また橋本真理という詩人は
なにものか。