文芸ブルータス 4

 本日の朝日新聞読書欄では、「文芸ブルータス」を紹介していました。
 ここ一ヶ月ほどは、丸谷才一さんを追悼した「文学界」、「en-taxi」、そして
「文芸ブルータス」と、めったにないこと文芸誌を購入しています。買うだけで満足
してしまって、ほとんど読むことがないというのはいかがなものかです。
このようにブログで話題とすることによって、すこしでも目を通すようにしましょうと
いうことでありますね。
 ということで、本日はすこし風邪気味のせいもありまして、終日自宅にいて文芸誌に
掲載の作品などを読んでおりました。(このところの読書の敵はネットでの動画視聴で
あるようです。テレビにはほとんど興味をひくようなものがなくなっていますが、
ネットの動画はね。これが読書の敵となっています。)
 本日に手にしていたのは「en-taxi」37号で、これに掲載された作品のいくつかを読ん
でおりました。この号のトップにおかれているのは、西村賢太さんの作品で、この人は
別格の扱いとなっています。
 その次に掲載となっているのは重松清さんの作品「また次の春へ」です。重松さんの
作品数は、ものすごく多くてほとんど毎月のように新刊がでているような印象があるので
すが、この方の作品を読む機会は、これまでありませんでした。
 この作品に興味がいったのは、「北海道のMという町の観光振興課で、封筒も町役場
の公務用のものだった。・・北海道の南部に位置して、人口は二万人ほど。津軽海峡
面していて、主な産業は水産業林業。スズランが町の花。町の樹はオオヤマザクラ」、
そのサクラの花びらをイメージした町章の下には、<メモリアル・ベンチの町>という
キャッチフレーズも記してあった」とあったからでした。
 東京に住む主人公が、大津波で行方不明となっているふるさとの両親の死亡を届ける
べきかどうか悩みながらふるさとを訪ねるのと並行して、ふるさとから転送された両親
あての<メモリアル・ベンチの町>からの手紙のこと、そして自らの病気のことが話題と
なります。
 ずいぶんと盛りだくさんの話題でありまして、これを限られた枠のなかにおさめるの
が、重松さんの芸でありますね。主人公は五十歳とありますので、作者と同年でありま
すから、ほぼ等身大となり、ひとまわり年長の当方にも共感できるお話でありました。