読まなくては 4

 なかなかページが進まないトニー・ジャットさんの「20世紀を考える」であります
が、なんとかスタートから200ページとなりました。各章のあたまのところは、著者の
自伝的な文章がありまして、そのあとにその時代背景についての対話というか語りが
続くことになります。この自伝に相当する部分は、読みやすいですし、かなり興味も
わくことです。
 今読んでいるところは、第四章「キングズカレッジとキブツ ケンブリッジ
シオニスト」となっています。ケンブリッジでも名門となるカレッジに入学するので
すが、それから「シオニズムの青年運動」に積極的にかかわるようになるのだそうで
す。
 なぜケンブリッジにいけたかでありますね。(もちろん、抜群に成績がよかったから
であるからですが。)
「わたしはケンブリッジ大学に行きました。いま思い返せばわかるのですが、わたしは
1966年の秋に、ある明確にきわだった世代の一員としてケンブリッジに行きました。
 この世代は、1944年の教育法とそれにもとづく改革から利益を得た若者の世代でした。
その改革で、イギリスの中等教育は無料になり、そこから利益を得られるあらゆる人に
開かれたものになったのです。その改革で、エリート養成システムが確立されました。」
 このエリート養成システムのおかげで、著者はケンブリッジに行けたといっています
が、それは著者のように抜群の人ではなく、普通に成績がよかった人のことでありま
しょう。
 その結果として、次のようにあります。
「 わたしの時代のケンブリッジには、親が大学に行っていないかなりの数の学生が
初めて入ってきたのです。または、わたしやわたしの友人の多くの場合のように、親が
中等教育さえ終了していない場合もありました。このことによって、わたしの通った
ケンブリッジは、学生が典型的に卒業生の子どもや孫であった前の時代のケンブリッジ
とはかなり異質な場所になりました。」
 このエリート養成システムは、1960年代後半に労働党が、こういう選抜手続きを廃止
したとのことで、その後の名門大学は玉石混淆のなかから、玉を選びだすのに、大変な
力を注いでいるとありました。
 なるほどですね。