みみずく先生

 由良君美さんの「みみずく偏書記」を手にしています。まもなくちくま文庫で手に
できるようですが、この本が文庫化されるのも「先生とわたし」効果でありましょうか。
「みみずく」と「ふくろう」はどう違うのかと思って、検索をかけてしまいました。
どちらにしても、ふだんの生活で見かける生き物ではありませんですね。
 いまから40年も前の学生の頃に、ジョージ・スタイナーの「言語と沈黙」を手にした
ことから、由良君美さんのことを知るにいたり、その後「ユリイカ」でエッセイを読む
ようになったのでした。
 由良さんの著作で最初に購入したのは、「泰西浪漫派文学談義」でありました。これ
に続いて購入したのは「みみずく偏書記」ではなく、「言語文化のフロンティア」であ
りました。これは、その後に講談社学術文庫に収録され、由良さんの著作で最初に文庫
となったものです。

言語文化のフロンティア (1975年)

言語文化のフロンティア (1975年)


 大阪創元社からでていました。どうして、ここからでたのだろうか、購入した当時は
首をかしげたものでした。今回、これのあとがきを見て、納得であります。
「ここ、二、三年、わたしが文化と言語について、断章を草してきたものを、なか仕切
りとして、ささやかな著書の体裁にしてみた。
 これもひとえに、大阪創元社編集部の高橋輝次氏の若い情熱のおかげである。高橋氏
はわたしの前著『椿説泰西浪漫派文学談義』に興味をもたれ、つぎにまとめたい著書が
あれば言ってもらいたいと、わたしに連絡された。
 しかし、そのころ、わたしが考えていたものは、いずれも数千枚にのぼる計画ばかり
であり、しかも何かの雑誌に連載したうえで、まとめなおす構想のものであったために、
遺憾ながら、お断りせざるを得なかった。しかし、その後の同氏の情熱は、許多の編集
者のそれをうわまわり、とうとう、わたしの方から、当時連載中の三省堂の雑誌『高校
の言語教育』への拙文を柱に、言語と文化にかんする他の雑文を集めて一本にするので
よければ、と申し出ざるを得なくさせてしまったのである。こうして成ったのが、この
小著である。」
 高橋輝次さんというのは、あの書物エッセイで著名な方でありますね。当方よりも
二学年ほど年長と思われますが、これを編集していた時は、20代も半ばの頃でありまし
た。
( 検索をかけてみましたら、高橋さんご自身が由良さんとのことを記しているのが
ありました。たしか、これは一冊にまとまっているはずですが、当方はいまだに読むに
いたっておりませんです。
http://www.sogensha.co.jp/page03/a_rensai/kosho/kosho49b.html )