文化勲章のこと

 本日の新聞に文化勲章文化功労者の発表がでていました。
 文学関係で名前があったのは、詩人の中村稔さんだけでありますが、期待していて残念
となった人もいるのでしょう。ノーベル賞を受けるようになってから文化勲章というの
は、みっともよくないということでIPS細胞の山中教授は、早々に文化功労者としました
が、それじゃ、もうひとかた毎年有力候補といわれる作家さんは、どうして見送りであり
ますか。過去にノーベル賞を受けた日本の作家のようにノーベル文学賞は受けるけれど
も、天皇からの賞は受けないとした先例がありますが、最近の有力候補は、そんなことは
ないのでしょうね。
 こうした賞というのは、巡り合わせのようなところもありますので、実力とそして運と
いうのも必要なのでしょう。政権がかわったりすると、すこしは選考基準もかわるの
かもしれません。文化功労者になった女性学者さんは、決して業界や政権と折り合いが
よろしい人ではなかったはずですから、よく言えばこのようなところに、現政権の好みの
ようなものが見てとれるかもしれません。
 過去に文学者で「文化勲章」を受けた人には、どんな人がいるのでしょう。当方が成人
になってからあとの文化勲章受賞者は、ひととおり新聞で目にした記憶があるのですが、
それにもかかわらず、頭からとんでいることです。
 先日に古本バザーで購入したなかでは、永井龍男さんが、昭和56年に文化勲章を受け
ていました。永井さんが受賞していたことは、まるっきり頭からとんでいました。地味な
作家でありますからね。受けるにあたっては、かって文藝春秋社の役員であったなんて
ことも加味されているのでしょうか。
 購入した「雑文集 縁さきの風」という本をみていて、文化勲章の受章式に出席する
文章がありましたので、あらためて永井龍男さんが受賞していることを知って、驚いた
ところです。
 この集中にあります「三日四日のこと」という文章から引用です。
「十一月三日は授賞式、翌四日は陛下からお茶のお招きという通知を、宮内庁から頂戴
して、まず当日着用する衣服のことが、老夫婦の間で問題になった。
 宮内庁の注意書きには、モーニングその他の礼服か、紋付き羽織袴と指定されている。
モーニングは、四十数年前の時に作ったが、あれを着ると猿芝居に加わった気分になる
ので、それ切り身につけたことはない。このたびも、紋付きをだして置くように言い
つけた。」
 本日は新聞発表があって、内々には受賞者の方には話しは伝わっているのですが、
今年の受賞者の皆様は、どのような衣服を着用して出席をなさるのでしょう。
建築家 安藤忠雄さんはいつもタ−トルネックを着ているように思いますが、モーニング
でしょうか。安藤さんのネクタイ姿なんて、見たことがありません。そして、三宅一生
さんは、どのようなものを着るのでしょう。 一生一代のものをとなりますが、腕の
ふるいようはあるでしょうか。