ブルータス30周年 6

 昨日に「ブルータス」87年3月1日号「秘本図書館」を話題としていますが、
その特集にあったヨシダ・ヨシエさんの文章を紹介するリード文には、「冒頭に
紹介した素敵なポルノ白書をまとめ、厳しい規制を進めているロンの国」とあり
ました。
 この「秘本図書館」特集の冒頭に置かれているのが、「ポルノ白書」という無
署名の文章になります。この文章へのリード文は、以下のようになります。
「『ポルノは諸悪の根源』という決めつけから出発したレーガン政権下のポルノ
諮問委員会。彼らが作成した2冊の分厚い報告書は狙い通りの結論を導きだした。
しかし同時に、その取材と証言はポルノ愛好家たちにも貴重な資料を与えたと
いう、何とも皮肉なお話。」
 ポルノ雑誌による悪影響を強調しようとしたら、具体的に、どこがどのように
悪かったかを文章なりを詳述することで立証しなくてはいけなくて、これが、
愛好家たちには喜ばれたということになります。
この本文では、次のようにあります。
「 2冊目になると報告書はさらにポルノ化。そのテの小説や映画のあらすじを
紹介し、とくに猥褻と思われる部分を引用して、それに一番力がこもっていたり
する。そのうえに、雑誌、出版物、映画とポルノと目されるものを網羅して完全
リストにしているサービスぶり。分厚い2冊の報告書は、いわばポルノへの懇切
丁寧な手引きとも、ほぼ完璧に近いポルノ大事典ともなっているわけである。」
 取り調べ側の官僚的な熱心さが、後世の歴史資料として貴重なものという実例
は、治安維持法下に日本における「エスペラント活動報告書(?)」にもあると
いう記述を見たように思います。(たしか岩波新書の「危険な言語」という本
ではなかったかな。)
 この報告書について、筆者はエスペラントを弾圧する側の人間によって書かれ
たのに、不思議なことエスペラントへの愛情すら感じるとあったかです。
ほとんど三谷幸喜の「笑の大学」のような話であります。