講談社文芸文庫20周年

 2月17日に朝日新聞朝刊に講談社文芸文庫20周年という広告がのって
いました。「民族の本音」という表題で、丸谷才一さんが文章を寄せていま
した。丸谷さんが文章を寄せるときは、旧かなつかいが原則でありますので、
新聞紙上で、旧かなを眼にする貴重な機会を提供しているということに
なるのでした。これは丸谷さんと新聞社の力関係によるものでして、駆け
出しの小説家が、旧かなでといっても、相手にされないでしょうよ。
 ちなみに丸谷さんであっても、毎日新聞の読書欄に文章を寄せるときは
新かなつかいでありますから、朝日新聞は丸谷さんの旧かなに寛容であると
いうことでしょうか。(この広告が朝日にのって、毎日にのらないのは、
旧かなつかいが影響しているのでしょうか。)
「近代日本文学は、西洋文学の多彩と充実は持ち合せず、日本古典文学の
洗練と高雅は欠くものの、近代と日本といふ身近な条件二つが重なるせいか、
妙に切実で胸を打つ。危機に際会したときの民族の本音が詰まっている。」
 わが家に文芸文庫は何冊くらいあるのでしょう。最近は、購入することも
すくなくなっていますが、初期の文芸文庫は編集者のせいで、花田清輝
長谷川四郎などが収録されて、毎月のラインナップを見るのがたのしいので
ありました。
 小生にとっての「この一冊」というのはありでしょうか。