毎日かあさん

 幻冬舎の「星星峡」117号に中条省平が「毎日かあさん西原理恵子をとりあげて
いるとは、昨日のブログにも書いたところであります。毎日新聞日曜日のお楽しみは
読書欄と毎日かあさんでありまして、これと将棋の名人戦のために、毎日新聞を続けて
いるという人は多いでしょう。
 西原の絵は、ひどく汚いのでありますが、あるいみとってもリアルなのでした。

「 このマンガの主人公である母親が、わが息子の小学校生活を描く際、ひどく落ち着きの
ない息子を『クラスの五大バカ』のひとりと読んだ。この『五大バカ』は西原の息子が
通う武蔵野市の小学校の状況をある程度知る者にとっては、特定可能な生徒たちであった。
そこが問題となったらしく、西原は学校の女性担任から呼び出しを受け、学校のことを
新聞のマンガに書かないのでほしいと要請される。・・
 なるほど、こうしたかたちで、マンガが『バカ』を差別した事件となるのか、という
程度のできごとである。すくなくともわたしはそう思った。そんなレベルの感想で通り
すぎる読者も多いと思う。ところが、この事件から、西原理恵子のマンガの本質に迫る
のである。
 『西原は、キャラクターとして登場させた人物に対し公私ともに面倒見がよいことで
知られる。そういう親密な関係だから描けたというより、描いたことでその人物は
西原の生の一部となり、切り離せないものとなった考えたほうがおそらくいい』」
 中条の文章からの引用ですが、西原が公私ともに面倒見がいいといっているのは、
表智之というひとだそうです。
 そうした登場人物への「面倒見のよさ」ということに関しては、中条が続けて次の
ように書いています。
「 マンガの登場人物を失うことは、西原理恵子にとって自分自身の一部を失うことで
あろう。『毎日かあさん』の最終巻ではひとりに登場人物が退場する。西原の元・夫で、
彼女のこどもたちの父親である鴨志田穣である。」
 本年3月に42歳で亡くなった鴨志田さんは、アルコール依存症とがんのために、
闘病していたのですが、その闘病を支えていたのは、元妻である西原さんでして、
最後は、末期の鴨志田さんを引き取って、看取り、葬儀もだしたはずです。
これなど、彼女の面倒見が良いというエピソードを裏付けるものでありまして、
そうした親近の情から、こどもたちのことを「バカ」というような表現をしたとしても、
それが完全に人格を否定するものにはなっていないというのが、表智之さんの立場で
あり、中条もその視点に賛同しているのでありました。