最近読んだ本から

 ここのところ積読本の消化に励んでいます。なかには、最近購入したものもあるの
ですが、読んでいたものは、次のものです。

 この文庫本、元の書名は「石の虚塔 発見と捏造 考古学に憑かれた男たち」と
いうものです。
石の虚塔: 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち

石の虚塔: 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち

元の書名については、なんとも売らんかなという感じでありまして、むしろ文庫に
なってからの書名のほうが、適切でありましょう。
単行本であれば、「発見と捏造」ということに目がいってしまいそうですから、こ
のタイトルに導かれてしまうと、「神の手」といわれた男性について書かれたもの
であるなと思ってしまいます。
 この本は、そういうものではなくて文庫のサブタイトルにあるように「岩宿」の発
見から「神の手」騒ぎまでの考古学の大御所と学閥とそれにとりいったり、利用され
たりする人間模様を描いたものであるといえます。
 そういえば、元版がでた2014年というのは、STAP細胞が発見されたといって大きな
話題となった年でありました。その時点で「発見と捏造」といえば、これはこちらの
事件を思いおこしてしまいますね。
 考古学の世界であったことは、他の学問分野でも、会社という集団でもあることな
のかもしれません。この本で描かれている考古学の世界では、学閥やボスたちがしの
ぎを削ったとしても、コップの中の嵐のようなもので、社会全体からすると影響力は
大きいものではありませんが、これが最近話題の大会社であれば、ボスたちの意見の
相違や判断の誤り(?)は、会社の存続を危うくするものであります。