昨日買った本 3

 一粒で二度おいしい「Switch」93年5月号のロング・インタビューのもうひとつは、
「さんま坂から見わたせば」という丸谷才一さんへのものです。
インタビューではありますが、ここには「文」ということでお二人の名前があがって
いました。編集長の新井敏記さんと濱美雪さんですが、インタビューを新井さんがされ
て、それをまとめたのが編集部の濱さんということかと思います。
「さんま坂」というのは、もちろん丸谷才一さんがお住まいになっていた目黒三田の
マンションそばにある坂を丸谷さんが名付けたものです。このすぐ近くには、目黒の
駅に通じる権之助坂というのもあるのですが、この権之助坂は、地名としても定着し
ているものです。さんま坂で検索をかけても、これではヒットしません。当方が東京
で暮らしていたときに、目黒は大鳥神社の近くに住まっておりましたので、目黒三田
を歩いて、このあたりに丸谷才一さんさんが住んでいるのだなと思ったものです。
もちろんすれ違ったりすることはありませんでした。
 「Switch」はあたまに「Literary」とつけた文芸特別号を何号かだしたのですが、
時期的には、この号など「Literary Switch」で計画されたものが、それがでなく
なったために、「Switch」への掲載になったとも思われます。
 この丸谷才一特集は、とても良くできていると思うのですね。丸谷さんは、亡くなっ
てから、追悼号がでたりしているのですが、この特集のようなセンスでやってくれた
ら、もっと親しみがわくのにです。93年というのは、丸谷さん68歳でありました。
ちょうど「女ざかり」が刊行となった年のことです。