読んでいる本など 2

 先日に人間ドック(健康診断)にいってきたのですが、その待ち時間に読むために
持参したのは、次のものでした。

本棚探偵の生還 (双葉文庫)

本棚探偵の生還 (双葉文庫)

 すぐに検査に呼ばれることもあるし、しばらく待ってから呼ばれることもあると
いうことから、どこから読みはじめても、どこでやめてもいいような本が一番で
あります。「本棚探偵」喜国さんの蒐集対象はミステリがメインで、当方とは好み
が異なるのですが、喜国さんが描く蒐集家の肖像と生態には、思わず苦笑してしま
います。
 この本で大笑いしたくだりであります。(あちこちに笑えるところがたくさん
あるのですが。)
 蔵書のために家がとんでもない状態となっているアンソロジスト 日下三蔵さん
に「どうして(だぶりとわかっていて)、また買ったんですか。」と聞いた時の、
日下さんの回答であります。
「さて皆さん、突然だがここでシンキング・タイムだ。もしもあなたが日下さんだっ
たら、この場合どう答えるのが正しいだろうか?
 真面目に考えてみてほしい。
『帯目当て』うーん、十点。
『持っているのより美本だった』五点かな。
『異装幀だった』ありうるけれど、まだ二十点。
『布教用』十五点。
『解説を書くために必要になったが、自分家に埋もれているものを探すより、買った
方が早かった』大森望さんの場合なら百点だが、ここでは三十点。
『アンソロジー用にバラすため』これは大いにありうるが、今回は違った。五十点。
では正解。日下さんはこう答えた。
『売っていたからです』
三百点!簡潔明瞭とはこのこと。一刀両断もこのこと。この解答の前にはどんな疑問
も意味をなくしてしまうだろう。
 売っていたから買った。これこそが真実。古本だけでなく、資本主義全体をヒト
コトで片付ける真理中の真理。」 
 そこに本があるからというに近い名言でありますね。
「本棚探偵」のシリーズは、単行本では四冊目がでていて、文庫本は三冊でています
が、中古本でも値段が崩れていないのは、凝った本作りになっているせいでありま
しょうか。