北の無人駅から

 本日のニュースを見ておりましたら、北海道の海岸線を走る道路で土砂崩れがあっ
て、その先の集落に住む六家族十名が孤立しているとのことでした。北海道のあちこ
ちにいつ孤立しても不思議でない集落があります。
 日本がまだよかった時代には、こうした集落をつないで鉄道が走っていました。
そもそも、その昔にはこうした集落には、まだまだ多くの人が住んでいました。
ひと家族あたりの人数もいまよりはずっと多くて、ひと家族の平均が5人を下回る
ことはなかったのではないでしょうか。六家族十人といえば、ひと家族では二人を
切っていることになります。
 いつまでもそんなに不便なところに住んでいないで街にでてきたほうが自治体と
しては余分な金がかからなくていいやとなるのですが、そういう話ではないでしょう。
たしかに、人里離れたところにある集落のために、道路の整備をしたり、雪が降った
ら除雪をするというのは、負担となることはたしかでありますが。
 最近のように国が極端な効率化を追求するようになりますと、ますますのこと一極
集中が加速することになりそうです。
 かっての国鉄が分割民営化されて分社化した鉄道会社は、ここに来て明暗がはっきり
としています。豪華な列車を運行することが話題となっている九州会社と鉄道事故
データ改ざんで袋だたきにあっている北海道会社であります。
 北海道会社が悪くないとはいわないのですが、極めて非効率な地域において鉄道事業
というのはぜいたくな話でありましょうか。

北の無人駅から

北の無人駅から

 著者の渡辺一史さんは、1968年大阪豊中市の生まれで、87年北海道大学に入学し、
それ以来北海道に住んでフリーライターとして活動をしています。ありがたいことで
あります。