今年一番の

 今年一番の寒気団が入り込んでいるのだそうです。もともと、当方の住んでいるとこ
ろの冬は寒いのでありますが、それでもこの時期は格別であります。そういえば、昨年
の今頃は連日のように氷点下15度くらいになって、あちこちのお宅で水道管が凍結して
しまって、朝起きて水をだそうとすると、蛇口をひねってもうんともすんともいわない
のでした。朝忙しいときに、水がでないのはたいへんであります。
 いまのところ、そこまではいっていないのですが、それでも寒気団がもたらす雪の
せいで、日本海近くの地域は朝からずっと吹雪となって、その地の高速道路は朝から
通行止めとのことです。
 しかし寒さといえば、上には上があるものです。
「どうして、こんなにさむいのかね。」「神の思し召しでさ」という有名なくだりが
ありますが、最近まで読んでいた「ドクトル・ジヴァゴ」にも極寒の地における記述が
あちこちにありです。たとえば、次のように。
「冬がやって来て久しかった。パチパチ大気がはぜる極寒のマロースがつづいていた。
千切れた音やはっきりしたつながりの定かでない形がマロースの霧のなかに現れては、
停止し、動き消えて行った。森に深紅の球体になってかかっていたのは、地上で見慣れ
た太陽ではなく、何か別の、取り替えられた太陽だった。その太陽から、蜂蜜のように
濃い琥珀色がかかった黄色い光線が、まるで夢かおとぎ話のなかのように緩慢に遅々と
して流れ出て、途中大気中で凍え、木々に凍りついた。」
 こちらは−10度くらいで寒いといっているのですが、この小説の世界は−40度に
もなって、空気中の水分が凍ってしまうところです。慣れることによって、このような
地でも人間は生きていくことができるのですから、すごいことです。