かなしい現実 3

 この街にはかってどのくらいの本屋さんがあったのでしょうか。大きいのはあまり
なくて、小さなものは中学校区にひとつくらいあったのではないかと、これは調べた
らわかりそうですが、当方には縁がなくて終わった本屋がほとんどであります。
 街の中心部にはそこそこ大きな本屋さん、時間をつぶすことのできる本屋さん、
そしてあまりいくことはないが飲み会のついでによるという感じで本屋さんがありま
した。ここに記した本屋さんは、この40年ほどですべて姿を消しました。
大手の本屋さんも大型店のテナントとして進出してきたことがありますが、大型店の
核テナントであるスーパーの苦戦にあわせて、撤退が続き、いまはあまり魅力のない
チェーン展開の本屋がいくつかと、先日まで営業していた地場の中堅書店が軸となっ
ていました。
 地場の書店の代表格の一つが破綻したからといって、この街から書店が姿を消した
わけではないので、それはまだ喜ばなくてはいけません。もっと小さな町では、町か
ら書店がなくなってしまったというところもあります。
 この町ではどうしたかというと、町の人たちが署名を集めたりして、書店の誘致に
動いたのであります。この活動が実って、全国大手の書店が、この町に新しく出店す
るということになりました。
 この店とて、町の人の買い支えがなくては立ち行かなくなることははっきりとして
います。この書店は、この町に住む人にとっての希望であるのですね。こうした店が
長く継続してやっていけるような社会であってほしいと思います。