かなしい現実 2

 地方に限らず、いまはどこにある小売業もたいへんであるようです。いきすぎた競争
というのが小売りの現場を疲弊させています。自分の首をしめることにつながりかねな
い価格競争には巻き込まれたくないものです。
 この街には、1960年末から全国展開の大規模なスーパーマーケットが進出し、駅を
はさんで三店舗がしのぎを削ってきました。これらのスーパーの集客力は極めて大きく、
古くからの老舗といわれるような店がつらなる商店街は、太刀打ちできずにシャッター
通りといわれるように変わってしまいました。
 全国大手のスーパーは、経営破綻や不採算を理由に進出からの50年弱ですべてが撤退
し、駅の周辺はいっきにさびれてしまうことになりました。これは地方のかなしい現実
であります。大資本には、結果としていいようにやられてしまうのでありますが、地方は
ほとんどマゾヒズムの世界でありまして、こうした大資本を誘致したり、救世主のように
あがめてきたのであります。
 ほかにやりようはなかったのかと、時代に流れにのらざるを得なかった、この街のこと
を思いかえします。この50年に失われてしまったものを取り返すことはできませんの
で、結局のところ、便利になったことを喜んではいられないのであります。
 現政権によって喧伝されている「三本の矢」でありますが、地方の現実に対して効果
は期待できそうにないのに、のらざるを得ないというのがマゾでありまして、ハゲタカ
のような勢力に借金だけを背負わされることになるように思われてしょうがありません。