「図書」4月号 4

「図書」4月号に登場する金文京さんの「漢文と東アジア」(岩波新書)は、当方の
なじみの薄い世界について、いろいろと教えてくれます。
 だいたいが漢字文化圏というのが、どのあたりまでであるかを知りませんでした。
「中国、日本、韓国、ヴェトナム、それに北朝鮮が、歴史的に漢字を使用してきた
いわゆる漢字文化圏であるが、これだけの例をみてもわかるように、漢字文化圏
おける漢字の使われかたはきわめて複雑である。まず、ヴェトナムと北朝鮮は漢字
を全廃、韓国もほとんど使われなくなり、ヴェトナムは(独自の)アルファベット、
韓国と北朝鮮ではハングルが用いられる。ただし文字としての漢字は使われないが、
漢字に由来する言葉は、この二つの言語において依然として高い比率を占めている。」
 漢字の使用が廃されたといっても、韓国の言葉に漢字の影響があるのは、当然と
いえば当然でありますが、そんなこともわからなくなるほど、当方の脱亜は進んで
いるのでありました。(「脱亜入欧」というのを変換で表示しようとすると、一発
ではでてきませんです。)
「今でも漢字を使用しているのは日本と中国であるが、日本が独自の略字と仮名の
併用、一方の中国はむろんすべて漢字だが、中国大陸がこれまた簡体字とよばれる
独自の略字を使うのに対して、台湾では従来の複雑な字形が今でも用いられている。
そして漢字の読み方は、古代中国の発音に由来するものの、それぞれ独自の変化を
遂げた現代中国漢字音、ヴェトナム漢字音、朝鮮漢字音、日本漢字音とばらばらで、
日本ではそのうえ訓読みまである。」
 ここまで引用したのは、すべて「漢文と東アジア」の「はじめに」からでありま
して、これを読んだだけでも、すこし利巧になったような気がします。