工藤正廣新訳

 昨日の朝日新聞朝刊一面を見て驚きました。一面にある「司法試験三千人枠撤廃」
という見出しが目に飛び込んできて驚いたわけではありません。
出版社の広告がならぶ三八の右から三つ目に太字で「新訳! ドクトル・ジヴァゴ
とあるのが目にはいったからです。
 まさかまさか、工藤正廣さんの新訳が日の目を見るとは思ってもみませんでした。
( 工藤正廣さんの新訳に関しては、以下のところで話題としたことがありました。
http://d.hatena.ne.jp/vzf12576/20080406 )
 それにしても、出版社の未知谷というのは、すごいところであります。
 http://www.michitani.com/
工藤正廣訳の「パステルナーク詩集」をシリーズでだして一区切りをつけて、それ
引き続きで、この作品の刊行であります。
検索をしますと「『誰もやらないなら私がやります』をモットーに」という文字が
でてきますが、これをホームページで確認することはできませんでした。しかし
これまでの刊行リストを見てみますと、ほとんど他では手を出しそうもないもの
ばかりであります。(そういう意味では国書刊行会とにていますでしょうか。)
 日本で最初に翻訳となった「ドクトル・ジヴァゴ」は、第二次大戦後の冷戦構造
のなかででたものでした。一度、こうして翻訳がでてしまうと、それがどんなに
問題があっても、なかなか次のものは出てきにくいことになります。
(あのナボコフ「ロリータ」もそうでありました。)
 

ドクトル・ジヴァゴ

ドクトル・ジヴァゴ

 次の翻訳を準備するというのは、日の目を見ることがない作業となる可能性が
あったのですが、よくぞこの訳業を続けたものでありますし、それを形として世に
だしたものです。