本日は大晦日

 今年も本日でおしまいとなります。
 今年もなんとか拙ブログを続けることができました。今年手にとったもので印象に
残るものは、ほとんどこの場で話題としたように思います。話題としていても未読の
ままなんてこともありますが。
 順不同で、今年、印象に残ったものなどです。
・ 阪田寛夫全詩集 理論社 2011年刊 伊藤英治編集

阪田寛夫全詩集

阪田寛夫全詩集

 阪田寛夫さんというよりも児童詩の世界に伊藤英治という編集者がいて、その方が
画期的な仕事(まど・みちおさんのものなど)をしたということは記憶されていいと
思いました。
 阪田さんの散文の世界において作品集の話がないのは残念でありますが、これを
行うとすれば、編集者 高橋一清さんの仕事となるのでしょうか。高橋さんの著書には、
阪田さんが登場します。
編集者魂―私の出会った芥川賞・直木賞作家たち (集英社文庫)

編集者魂―私の出会った芥川賞・直木賞作家たち (集英社文庫)

・ 学問への情熱 直良信夫 岩波同時代ライブラリー

 シュリーマンのようなタイトルでありますが、この本で直良さんが自分の先生として
尊敬している方が、「ブダペスト日記」の著者 徳永康元さんの御父上というのに驚き
です。

・ 東映ゲリラ戦記 鈴木則文 ちくま連載中
 昨年末から今年にかけて「ちくま」に連載していますが、70年代のはじめに京都で
学生生活を送りましたが、東映B級映画を一乗寺 京一会館で楽しみました。ここで
見た映画の制作裏話を監督が記してくれています。
「ちくま」連載としては、石堂淑朗のものについで快挙。

・ ぼくらのヒット・パレード   マーシャルマクルーハン広告代理店
 ともに小西康陽さんがかかわった本であります。

僕らのヒットパレード

僕らのヒットパレード

 この本では「ロシェフォールの恋人たち」フランソワーズ・ドルレアックへのオマー
ジュがよろしでした。

・ セ・パ さよならプロ野球 吉川良

セ・パさようならプロ野球

セ・パさようならプロ野球

 この作品を読んでいたときに、ちょうどこの作品に新人の審判として登場する方が
審判を引退して本を刊行したという記事を見ました。不思議なシンクロがこの作品を
読んでいた時のことを記憶に残るものとしました。
 いまも残っているようですが川崎球場をホームとする野球チームが、かってありま
した。川崎球場ロッテオリオンズへの挽歌。
 この方などは、もっと読まれていいのかもしれません。といって、当方もこれ以外
を読んでいるわけではないのですが。

 ・ みみずく先生の著作 

みみずく偏書記 (ちくま文庫)

みみずく偏書記 (ちくま文庫)

椿説泰西浪曼派文学談義 (平凡社ライブラリー)

椿説泰西浪曼派文学談義 (平凡社ライブラリー)

 今年は思いかけずで、由良君美さんの本が容易に入手できるようになりました。
四方田さんの「先生とわたし」で興味をもたれた方もいるでしょうが、由良さんの
ものを直接みてみるのが一番でしょう。

・ 死ぬまで編集者気分 小林祥一郎 新宿書房

 小林祥一郎さんのこの本について「en-taxi」で、一石を投じられていましたが、
それは、こういうことと、新宿書房のページからリンクされている小林さんのコラム
で書いていました。
 小林祥一郎・村山恒夫・石塚純一さんを平凡社つながりとしました。

・ いしいひさいち 仁義なきお笑い 文芸別冊

いしいひさいち  仁義なきお笑い (文藝別冊/KAWADE夢ムック)

いしいひさいち 仁義なきお笑い (文藝別冊/KAWADE夢ムック)

 わが同時代人 いしいひさいちであります。

・ かぞくの国   これは映画です。
 いまに残る最後の分断国家に翻弄される家族です。

・ 雲の都 加賀乙彦 新潮社

雲の都〈第5部〉鎮魂の海

雲の都〈第5部〉鎮魂の海

 完結したのを機に、第一部から読んでみました。最近は、こういう小説が少なく
なりました。甘いといえば甘いかもしれないが、長編小説の楽しさを味わえます。
 「永遠の都」から30年ほどかかって完結した自伝的な色彩の強い小説。
主人公には作者が投影されているのですが、フィクションでありますので、主人公
は当然ながら作者ではない。作者は加賀さんですから、加賀さんと小木さんとも
違いますね。

・ 編集グループ SUREと黒川創さんの活動
 ことしはSUREの活動に目を見張りました。黒川さんは、SUREの軸であり
ますが、「思想の科学」の精神を今に伝える。しばらくは黒川さんの活動から目が
はなせない。

・ 「加藤周一」という生き方 鷲巣力 筑摩書房

「加藤周一」という生き方 (筑摩選書)

「加藤周一」という生き方 (筑摩選書)

 先月刊行のものですが、加藤周一さんは死んでいないと思わせます。まだほとんど
読めていません。

・ 吉田秀和丸谷才一の死
 さびしくなります。これまで書いたもので未読のものがいっぱいあるので、しばらく
は読むものはあるのですが、新しいものが出ないからな。
 
 このほかにもあるのですが、このくらいにしておきましょう。
 ことし拙ブログに遊びにいらしていただいた皆様に感謝いたします。
 来年もどうぞよろしくです。
 皆様にとって2013年が良い年になりますことをお祈りいたします。