みすず読書アンケート 10

 話が、今年の「みすず読書アンケート」に戻します。昨日の最後に記しましたが、
今年のアンケートで取り上げられているもののなかで、一番ほしいなと思うのは高山宏
さんの「新文人感覚」の二冊であります。高価なものでありますからして、なかなか購入
への決断はつきませんですね。
 アンケートに回答を寄せている方では、これまで紹介したほかにも富士川義之さんや
武藤康史さんのもの、長老 松尾尊允さんのものなどが印象に残りました。
 最後に話題とするのは、昨年も話題にした細川周平さんのものです。
細川さんがあげているのは、次の5冊。
・ われらが歌う時   リチャード・パワーズ  新潮社
・ 賜物        ナボコフ        河出書房新社
・ 上を向いて歩こう  佐藤剛         岩波書店
・ 許されざる者    辻原登         毎日新聞社
・ いざなぎ流の研究  小松和彦        角川学芸出版
 細川さんの紹介には、これらの本をどうして手にするようになったか書いてあるの
ですが、それが親しみをもつのでした。
 「われらが歌う時」については、「親しい友人で作家のいしいしんじが蓄音機をかける
京都ラジオの番組『転がる石のように』で言及したので、読んで見る気が起きた。」のだ
そうです。
 作家の「いしいしんじ」さんという方は、名前は目にしたことがありますが、どのよう
な作品があるのかは全く知りませんでした。この方の作品よりも「転がる石のように」と
いうラジオ番組のほうが気になっています。 http://www.kbs-kyoto.co.jp/radio/ishi/
この番組ページをみますと、現在は番組をしていないようにもみえますが。(当方のネッ
ト環境は、地域エリアの制限ががっちりとかかっていて、関西エリアの番組を聴くことは
できませんです。)
 二冊目の「賜物」については、「訳者の沼野充義に送ってもらい既に二年、
そのボリュームにたじろいでいたが、ようやく南米への長旅のお伴につれていく決心、
帰りの空港で読み終えた。」とありです。
 三冊目「上を向いて歩こう」は、「テレビ局に勤める高校時代の級友に薦められた。」
 四冊目、「七月、新宮を旅行した時、観光案内所でこの小説の舞台を訪ねるチラシが置
いてあり、興味を持った。」
 けっこう有名な本ばかりでありますが、自分の専門外の本ばかりでありますので、手に
するまでには、きっかけが必要ということで、本の世界を歩くためには、道案内してくれ
る友人か、良きガイドブックが大切であるということがわかります。
 細川周平さんの結語は、次のものです。
「このように2011年は分厚い本に立ち向かう気力と時間を持てた点で、幸せだった。」
 当方に必要なのも「分厚い本に立ち向かう気力」でありますね。