手紙が語る戦争

 先日、「みずのわ出版」のページをみていましたら、新刊の案内で目が点なり
ました。
 小生が「みずのわ出版」のことを知るにいたったのは、「湯川成一さん」を
追悼した「SPIN」の版元であったからです。その前から林哲夫さんがやっておら
れる「sumus」ブログでは、「spin」のことが話題になっていたのですが、版元の
ことはほとんど頭にはいっていませんでした。
 今回の「みずのわ出版」からの新刊案内は、以下のものでありますが、これに
ついては、林哲夫さんが装丁をなさっていることもあり、林さんのブログでも取り
上げとなっています。 
http://www.mizunowa.com/book/book-shousai/a%20letter.html
http://sumus.exblog.jp/11284734/ 
 目が点となりましたのは、この寄稿一覧のなかに、小生の親戚のおねえさんが
いたからであります。(親戚のおねえさんといっていますが、正確には父のいとこで、
小生よりもすこし年上。)
 彼女が、数年前に父のところを訪ねて来たときに、母に対して「おばさんがつけた
日記は残っていませんか」と聞いていたことと、「女性の日記から学ぶ会」というので
活動をしていることが話題になったからです。
 たぶん、母の日記のことは、それ以上につっこんだ話にはならずで、父の手元で
保存されていた彼女の父上から甥となる小生の父へ送られた手紙が、彼女に戻った
のでした。手紙は、よほどの人でなければ発信した本人のところには文章が残って
いなくて、その後の手紙の処理は受け取った人にゆだねられるのであります。
手紙は自分にむけてかかれていることも多いので、自分の日記を読み返すような
思いで、読む返してみたいと思うことがありですが、なかなかそういう機会には
恵まれません。
 小生も来信となった手紙はかなりとってあるのですが、いつかの時点で、手紙を
やりとりしていた友人とかっての手紙を交換して、自分の手元に40年ほど前に
書いたものを取り戻せば面白かろうと思ったりします。
 最近のeメールは、うまくやれば手元に送信内容が保存することができそうであり
ますが、こうしたメールは、これから40年後であっても容易に解読することが
できるのでしょうか。
 
 「手紙が語る戦争」は「女性の日記から学ぶ会」が編集し、その代表者である
島利栄子さんが監修をしています。この本の巻頭には、お年寄りの聞き書きを行う
作業を通じて「日記の大切さを人一倍感じていた」と記しておられます。
「個人の財産であるプライベートな日記を保存・活用し社会の遺産にするなどとは
なかなか受け入れがたい閑雅で、その常識の壁を破るのに苦労しました。誠意をもって
おつきあいするうちに次第に信頼をいただき、日記を提供してくださる方も増えて
いきました。政治家や作家ではなく、普通の市民の日記を収集・活動が日本では
オンリーワンという珍しさからか、マスコミにも多く紹介され、おかげで会員も
日記提供も増えて活発になっていきました。」
 普通の市民の日記、手紙を社会遺産にという運動と、周防大島に活動の軸足を
おく出版社が出会って、今回の出版につながったようです。