本の山とけものみち 2

 本日も「山からお宝」(けものみち計画)を手にしています。「本を
積まずにはいられない人のために」と副題がついていますが、どうして本を
積まなくてはいけないほどに本を購入するのでありましょうか。
 そのむかしに、NHKアナウンサーでありました鈴木健二さんという人は、
相当にいやみなキャラでありましたが、「気くばりりのすすめ」なんて本を
かいて、これはベストセラーになりました。この方がNHKに在職しているときに、
仕事机のまわりには番組で使用すると思われる本が山のようにつまれてありま
した。ここには、さわるな危険というようなはりがみがしてあって、ご本人は
どこの山に、どのようなものが積まれているかわかっているとありました。
それなりに片付けているのではあるのでしょうが、たぶん、退職するまで
あの方のディスクのまわりは、参考図書が山のようになっていたのでありま
しょう。
 たぶん、鈴木健二さんのような大物になりますと、なかなかまわりの人も
意見ができなくなって、会社のオフィスで周りに迷惑をかけることになっても、
増殖を続けたのでありましょう。(たぶん、一番迷惑をしたのは、清掃にはいって
いた人たちでありまして、これでは掃除ができませんとなったでしょう。)
 本の山を築くとしても、やはりそれは時と場合でありまして、自分一人の
空間でありましたら、どうぞお好きにでありますが、家族と一緒に暮らして
いるのでありましたら、それはやはりいいかげんになさいということになり
ます。
 小生は、一度手放した本は、二度と入手できないというような思い込みが
あるのと、図書館から借りて期間内に読み終えることができないという
ことで、本はとにかく購入して溜め込むのが流儀であります。これで40数年も
やっているのですから、置き場所に困るのも当然です。たぶん、これまでで
本を古本屋に売却したのは、一度で、その時は全集の端本を3冊くらい
持ち込んだのでありますが、あの時代は、それでもけっこうな金額をいた
だくことができました。
 定期的に蔵書を売りにだして、自分の身の回りをすっきりしている人の
ことをきいたことがありますが、古本屋に本を処分にするにあたっては、
思い入れのあるものも混じるのですが、それには相当の気迫を込めなくては
できないとありました。本の山ができるというのは、ゆるい、ぬるい生活を
していることの証であるかもしれません。自戒をこめて、本の山があるのは
恥ずかしいことであると思うことにいたしましょう。