「75年読書アンケート」3

 本日の朝刊から、日曜日のお楽しみ読書欄が復活しました。
 なかでも最近読書欄に力をいれている毎日新聞の、年明け最初の特集は、
「第6回 毎日書評賞」でありまして、毎日 選考委員である「中村桂子
丸谷才一」「 山崎正和」の三人が合議制できめるものですが、今年の
表彰の対象は、「鶴見俊輔書評集成」 全3巻であります。
 この選考は、さすがに気にひけたか、「選考を終えて」という選評(?)
では、丸谷才一さんが長老の受賞となってことを、気にしてかいているので
ありました。どのような人が、ノミネートされているのかわかりませんが、
鶴見俊輔さんに賞というのは、いまさらとおもいますね。

 みすずの75年読書アンケートには、鶴見さんも寄稿していまして、
紹介しているのは、次の2冊でありました。
 ・ 金 芝河  良心宣言、 金芝河らを助ける会
 ・ 長田弘   見よ、旅人よ 講談社
 
 今は、金芝河さんという詩人がいたことなど、忘れられているのでは
ないでしょうか。この2冊のタイトルをみると、丸谷さんの評もまとを
えているなと思うのでした。 

 丸谷才一の、本日の新聞にある選評で、鶴見さんへの不満としてあげて
いるのは、次の展についてです。

「 文化的価値をうんと古風に真善美と分けたとき、鶴見産は真と善とに
対する感覚は非常に鋭い。しかし美に対してはどうだろうか。彼は漫画や
劇画が好きで良くとりあげるが、そのくせ絵の線のきれいきたないについて
論じることはない。また日本の批評家にしては珍しく好んで詩を扱い、
良く引用するけれど、その詩はおおむね政治的モットーや人生訓に類する
ものであって、詩がレトリックと音楽との同時代的表現による快楽である
という局面は、関心のらち外にあるようだ。」