櫻井秀勲という人

 櫻井秀勲という編集者あがりの評論家がいることは知りませんでした。
編集者といっても、最後のほうは小生にはなじみの薄い女性週刊誌です
し、光文社の社員であったようです。ここで「女性自身」の編集をして
いたのですが、会社で大きな労働争議が起こって、これを契機に会社に
いやけがさして、祥伝社を立ち上げたはずです。

「 運命は人の思惑の越えることがあり、労働組合との争議が社会問題と
なって、当時の役員9人は一斉に退陣おなった。こととき藤岡と私と伊賀と
一緒に辞任したが、縁あってともに祥伝社を設立することとなった。」
そのような時代があったのでありました。このような組合運動で機能
不全に陥った出版社としては、中央公論社もそうでありました。

中央公論社ほど、人材を豊かにもっていた出版社はないだろう。
 なぜこれほどすぐれた社員ばっかり集まったのか、またそんな優秀な
社員ばかりいながら、なぜ読売の手を借りなければならなかったのか?の
疑問は、出版界に在籍する人たちの多くが抱いているに違いない。」 
 櫻井さんの「戦後名編集者列伝」 編書房刊では、これに続いて
中公における4つのガンというのを記しています。
 ・ 嶋中家の問題。
 ・ 嶋中家の番頭各の専横
 ・ 組合をあまやかしたこと
 ・ 社長のジュニアの道楽で多額の謝金を背負ったこと

 なるほど、以上にある4つのガンをみるにつけ、 家族制会社の
難しさを痛感することであります。